地裁判決【焼き菓子店舗の賃貸借について、本契約成立と予約契約成立は否定されたけれども、契約締結上の過失が認められた事例】

裁判年月日 | 平成26年9月16日 |
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裁判所名 | 東京地裁 |
事件番号 | 平25(ワ)5445号 |
第2 事案の概要等 | 1 本件は,原告が,直営の焼き菓子専門店舗を出店するための不動産物件を探し,被告所有の物件について,被告と交渉を開始したところ,①主位的に,同物件について,被告との間で,賃貸借契約が成立したにもかかわらず,被告が同契約を一方的に破棄したとして,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求め(主位的請求),②予備的に,同物件について,被告との間で,賃貸借予約契約が成立したにもかかわらず,被告が同契約を一方的に破棄したとして,被告に対し,債務不履行又は不法行為に基づき,損害賠償を求め(予備的請求1),③さらに,予備的に,同物件について,賃貸借契約も賃貸借予約契約も成立していなかったとしても,被告は,原告に対し,貸渡承諾書を交付し,原告は,同書面に記載された条件を前提としてその後の営業活動を行ったが,被告は契約交渉を一方的に破棄しており,被告には契約締結上の過失があるとして,被告に対し,不法行為に基づき,損害賠償を求める(予備的請求2)事案である。 主文等はこちら → 全文(概略版・PDF) |
出典 | ウエストロー・ジャパン |
POINT渡辺先生から一言
東京地裁平成26年9月16日判決は、焼き菓子店舗の賃貸借について、ほかの賃貸借条件はおおよそまとまっていたけれども、ファサードのデザインについてだけ合意ができず、話合いが続いている段階で、建物所有者が賃貸を拒んだ事例です。
「本件物件の賃貸借の主要な条件について,完全には定まっていたということができない」として、本契約と予約契約は否定されましたが、建物所有者が貸渡承諾書を交付していたところ、「本件貸渡承諾書の交付は,客観的に見ると,原告に,ファサードデザインについて譲歩すれば,本件物件について,賃貸借契約が成立するとの強い信頼を発生させる」として、建物所有者側の責任を肯定しました。
「本件物件の賃貸借の主要な条件について,完全には定まっていたということができない」として、本契約と予約契約は否定されましたが、建物所有者が貸渡承諾書を交付していたところ、「本件貸渡承諾書の交付は,客観的に見ると,原告に,ファサードデザインについて譲歩すれば,本件物件について,賃貸借契約が成立するとの強い信頼を発生させる」として、建物所有者側の責任を肯定しました。