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最新判例【耐震性の不足は更新拒絶の正当事由】

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【都市再生機構(UR)の賃貸集合住宅の立ち退き訴訟で判決-耐震性の不足は更新拒絶の正当事由となる-】

事件番号 平23(ワ)162号
事件名 建物明渡等請求事件
裁判年月日 平成25年3月28日
裁判所名 東京地裁立川支部
裁判区分 判決
裁判結果 認容
上訴等 控訴
裁判要旨 賃貸建物の耐震改修の実施を断念し、同建物を除却するとして、同建物の住民との間で住み替え等について話合いをしてきた賃貸人である原告が、話合いのつかなかった被告らに対し、それぞれの契約満了日をもって本件各賃貸借契約を終了し以後更新しない旨の通知をしたものの、各契約期間満了後も被告らが各居室に居住し続けたことから、賃貸借契約終了に基づく建物明渡し及び約定損害金の支払を求めた事案において、どのような方法で耐震改修を行うべきかは基本的に建物所有者である賃貸人が決定すべき事項であるから、賃貸人の判断が尊重されてしかるべきところ、原告が本件除却を決定した判断について、その過程に誤り、非合理性はなく、居住者に対しても十分な代償措置が取られていると認められるから、除却の判断は相当であるとして、本件更新拒絶に正当事由があると認めるなどして、請求を全部認容した事例

POINT渡辺先生から一言

借地借家法の借家人保護の精神が最も象徴的にあらわれるのが正当事由の有無判断の局面です。先例を参考とせざるを得ない裁判所としては、建物が安全性を欠くと判断しても、貸室が賃借人を支える生活環境を形成している場合、なかなか明渡を認めず、仮に明渡を認めるとしても、高額の立退料と引換えになることが大部分です。その点、この判決は、昭和46年5月新築の、建築後いまだ40数年しか経過していない建物について、安全性の欠如を理由として、立退料なしの無条件での明渡を肯定しています。その意味で、とても意味のある判決と考えられます。控訴されているようなので、高裁がどのように判断するのかも、興味深いところです。

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