| 企業における危機管理(3) |
| 1.オフィス・ビル緊急事態現場対応ガイドを作ろう |
このガイドの目的は、いざというときに、何を、どのようにすればよいか―を、あらかじめ学習し、訓練し、専門的経験をさせて、身につけさせることである。リスク・マネジメントや危機管理が重要であることは、ほとんどの人が分かるようになった。しかし、もしあなたがテロや地震の現場にただ一人居合わせたとしたならば、どういう行動をとればよいだろうか。次の問いに答えてほしい。
(1) 緊急事態の定義を理解し、実際に応用できるか?
(2) たとえば今、目の前で実際に起こっていることは、会社にとって緊急事態、すなわち危機であるといえるか?
(3) 今、仮に3連休の真夜中の3時とした場合、あなたは直接の上司、あるいは、社長に電話すべきか、すぐ判断ができるか?
(4) 緊急事態によってもたらされる自社とテナントへの影響を理解し、評価できるか?
(5) 自分が現場の第一対応者として、何をしなければならないか、逆に、何をしてはならないかをはっきり言えるか?
(6) 状況に応じ、緊急対応に必要な資源(人、物、金、情報など)を見分け、危機管理センターに連絡できるか?
(7) まず自分自身の安全を守ることが最優先であることを理解しているか?
(8) 自己防衛能力を訓練され、身につけているか?
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2.緊急事態(危機)訓練モデルの5段階のプロセス |
上記の質問に関しては意外に、「できる」と言い切れないオフィス・ビルの役職員が多いのではなかろうか。この設問は、現場に居合わせた第一発見者を想定したが、実際には、連絡や情報を知った人たちが、緊急事態対応するには、似たような現実的な設問をしてみる必要がある。そして、危機管理の5段階のプロセスまたは5段階のレベルに対し、ガイドを作り、訓練する必要がある。危機管理の5段階のプロセスとは、(1)危機の兆候探知、(2)危機の予防・制限、(3)被害局限、(4)復旧、(5)教訓の学習(再発防止対策)といった危機管理の5段階のプロセスをいう。一方、危機管理の5段階のレベルとは、(1)認識レベル、(2)活動レベル、(3)技術者レベル、(4)専門家レベル、(5)事案統制レベルを指す。これらの5段階のプロセスを緊急事態(危機)訓練モデルの5段階と呼ぶことにしよう。
| 3.オフィス・ビルの危機管理講座の概要 |
緊急事態(危機)訓練モデルの5段階には、わかりやすく、実行しやすい学習と、そのための講座が必要である。この講座は、理想的には、各オフィス・ビルごとに設けて実施するのがよい。何社かが、まとまって実施するのがより実際的かもしれない。仮に現場に居合わせた第一発見者を想定したオフィス・ビルの危機管理講座を作るとすれば、次のような概要にするとよいのではなかろうか。
イラク開戦、北朝鮮問題などテロという新しい戦争の脅威、南関東直下型地震、駿河湾沖地震など、人災、天災を合わせた緊急事態もしくは危機への対応をする準備ができていること、それが危機管理である。その準備は、本稿で提案したような、「危機管理訓練講座」から、緊急に始めるべきではないか。ウェブサイトの講座を考えてみてはどうだろう。第1章 わが社にとっての危機(緊急事態)の定義
ここでは、自社のオフィス・ビルにとって危機管理の対象とすべき危機(緊急事態)を定義する。過去の事例や、将来考えられる脅威(危機リスク)を示す。
第2章 将来考えられる脅威(危機リスク)とその兆候
ここでは、将来考えられる脅威(危機リスク)をどう見分けるか、見分けるための兆候や鍵、糸口、手がかりなどを示す。
第3章 自分の身の安全の守り方(自己防衛)
ここでは、現場に居合わせた第一発見者が遭遇しうる危険とその危険から身を守る方法について説明する。
第4章 現場の状況対処―危機管理(緊急事態対処)
ここでは、最初に行うこと、および現場の隔離と避難誘導を適切に行うための指針を説明する。
第5章 リスク・コミュニケーションと調整
ここでは、必要となる危機管理の資源(人、物、金、情報など)をどのように調達するか、そのために、どのように情報を伝達し、調整するかを説明する。
(2002年12月23日)